「デトックス」、誰もが一度は聞いたことのある言葉なのではないでしょうか。しかし、「何となく意味は分かるけど、正しい意味ややり方は分からない…」という人も多いかと思います。今回はデトックスの基本的な意味から簡単にできるその方法まで丁寧に紹介していきます。
【目次】
1.デトックスとは
1-1.デトックスの意味
1-2.体内の毒素とは
2.デトックスの方法
2-1.食生活
2-1-1.食物繊維
2-1-2.発酵食品
2-2.水分補給
2-3.入浴
3.デトックスの効果
4.デトックスを行なう上での注意点
5.まとめ
1.デトックスとは?
1-1.デトックスの意味
「デトックス」とは、「detoxification(解毒)」という英単語の短縮形で、「体に蓄積した毒素や老廃物を体外へ排出する健康法」の
ことを指します。
免疫機能を正常に戻し、新陳代謝が活発さを取り戻すことで、心身の不調を改善させることを目的としています。 デトックスに興味を持っている人なら「アーユルヴェーダ(Ayurveda)」という言葉も耳にしたことがあるかもしれません。アーユルヴェーダとは、世界三大医学の1つであり、インド・スリランカで生まれた5000年以上の歴史を持つ世界最古の伝統医学です。
サンスクリット語のAyuh(生命・寿命)、Veda(科学・知識)に由来し、西洋医学のように病気の症状を取り除くのではなく、より健康に長寿や若さを保つことを目的とした、実践的な生活健康法として受け継がれてきました。
その基本は「デトックス・ファースト」と言われています。心身の不調の根本的な原因を改善し、エネルギーの巡りを良くしていくことが健康の第一歩なのです。
1-2.体内の毒素とは
前述したように、体内には毒素や老廃物が溜まっていますが、それらの正体は何なのでしょうか。そして、一体どうやって私たちの体内に入ってくるのでしょうか。
そもそも毒素とは、身体に害を及ぼす有毒物質のことを指し、食材として口から摂取しているものや皮膚から吸収されるもの、そしてその中で栄養素が代謝された後に残った老廃物などがあります。
本来私たちの身体は、これらの毒素を自然と排出する機能を持っていますが、不規則な生活や食事、あるいは老化のために、この機能がスムーズに働かなくなることがあります。体内の毒素をそのままにしておくと、心身の不調に繋がってしまいます。
それでは、具体的にどこからどんな毒素が侵入し、身体のどこに溜まっているのか、見ていきましょう。
<代表的な毒素>
・水銀
魚介類、歯の詰め物などから身体に取り込まれ、主に腎臓や骨、肝臓に蓄積します。
下痢、肺炎、貧血、水俣病、腎臓・肝臓障害、感覚障害の原因にもなります。
・アルミニウム
調理器具、アルミ缶などから身体に取り込まれ、主に骨、皮膚、脳に蓄積します。
血行不良、角質代謝の悪化、吹出物の原因にもなり、アルツハイマー病との関連が指摘されています。
・鉛
水、缶詰、タバコ、排気ガスなどから身体に取り込まれ、主に骨、肝臓に蓄積します。
疲労、頭痛、貧血、不眠、神経過敏、消化器肝障害などの原因にもなります。
・ヒ素
残留農薬、水、魚介類などから身体に取り込まれ、体内のほとんどの組織に蓄積します。
発がん性があり、嘔吐、下痢、皮膚障害、全身疲労などの原因にもなります。
・カドミウム
排気ガス、タバコ、水などから身体に取り込まれ、主に腎臓、肝臓に蓄積します。
イタイイタイ病、腎臓・肝臓障害、骨の異常などの原因にもなります。上記が体内に溜まる主な毒素として知られています。日々の生活の中でこんなにも多くの種類の毒素が蓄積されていると思うとゾッとしますよね。
これらの毒素を排出していくためにはどうすればいいのか、次項で解説していきます。
2.デトックスの方法
身体に蓄積された毒素の約75%は便から、20%は尿から、3%は汗から、残りの2%は髪や爪の生え代わりによって排出されると言われています。よって、食生活の改善により、腸内環境をととのえて便通をよくすることが最大のデトックス方法と言えます。
その他にも運動をしたり入浴方法を変えたりすることでも、十分デトックスの効果を得ることができます。
本章では、自宅でできる簡単なデトックスの方法を紹介していきます。
2-1.食生活の改善
食生活では、腸内環境を整えるのに最適な食物繊維を含む野菜類や善玉菌を含む発酵食品を積極的に取り入れるように心がけましょう。
2-1-1.食物繊維
食物繊維には、大きく分けて2つの種類があります。
一つ目は、水に溶け、腸のお掃除してくれる「水溶性食物繊維」です。粘着性があり、腸をゆっくりと移動するので、お腹が空きにくくなり食べ過ぎ防止にもなります。
もう一つは、水に溶けず、膨らみながら腸の動きを活発にしてくれる「不溶性食物繊維」です。保水性が高く、腸を刺激し蠕動(ぜんどう)運動(腸の輪状筋のうごめくような運動)を活発にし、便通を促進します。
理想的な水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合は、1:2と言われていますが、摂取しすぎるとお腹が張る原因にもなりますので、注意が必要です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、女性18 g以上、男性21 g以上(18~64歳の場合)を1日の食物繊維接種目標値としています。
【水溶性食物繊維を多く含む食材】
・海藻類
・果物類
・里芋
・大麦
・オーツ麦
【不溶性食物繊維を多く含む食材】
・穀物
・野菜
・豆類
・きのこ類
2-1-2.発酵食品
私たちの体に有益な善玉菌の代表といえば、乳酸菌やビフィズス菌をよく耳にします。これらの菌は、悪玉菌の増殖・定着を防いで感染を予防し、消化吸収の補助や免疫刺激など、健康維持に効果があります。
一方、体に害を与える悪玉菌には、ウェルシュ菌や病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌などが挙げられ、発がん性のある腐敗物質の産生や、免疫力の低下にも繋がります。
これら善玉菌と悪玉菌は、常に腸内で戦っています。腸内環境を良くするためにも、善玉菌を含む発酵食品の摂取を心がけましょう。
ちなみに、和食には発酵食品が多く含まれているので、和食中心の食生活にするだけでも効果的です。
【善玉菌を多く含む食材】
・ヨーグルト
・チーズ
・味噌
・醤油
・ぬか漬け
・納豆
・漬物
・キムチ
2-2.こまめな水分補給
意識しないとついつい忘れてしまう、水分補給。しかし、しっかり水分を摂って「排尿」を施さないと、毒素も体外に排出されません。
前述したように、デトックスの約20%は尿から行われるので、利尿を促し体内を浄化するために、水をたくさん飲むように心がけましょう。1日の水分の排出量は2.5リットルと言われています。それゆえ、それと同等の量の水分を摂取しなければならないのです。
そのうち約1リットルは食事から得られることが想定されるため、飲み物からは残りの1.5リットル以上の水分を摂取することが理想的です。
しかし、一度に大量の水を飲んでも、身体は一気にそれを吸収することはできないので、起床後、毎食前、入浴後、就寝前…など、1日の中でこまめに水を飲む習慣づけをしましょう。
2-3.入浴方法の改善
お風呂は身体を外側の汚れだけでなく、内側の汚れ、つまり毒素も洗い流してくれる場所なのです。
毒素の出口のひとつである「汗」ですが、入浴で出る汗は、体温調節のために出るサラサラとした汗とは違い、皮膚の奥の皮脂腺のから出てくるじんわりとした汗です。このじんわりとした汗には排出された毒素が含まれているため、お風呂で汗をかけばデトックス効果が期待できます。
また、入浴によって体温が上昇すると、代謝が促進され血行がよくなり、毒素が排出されやすくなります。同時に、胃腸も温められるため、食事によるデトックスを手助けする役割もあるのです。
それでは、具体的な方法について順番にお話ししていきます。
・お風呂に入ったら
まずお風呂に入ったら浴びるのがシャワー。身体を洗う前に、シャワーの浴び方を工夫してみましょう。
身体の末端から中心に向かってゆっくりとシャワーを当てていくことにより、リンパの流れが良くなります。浴槽に浸かる前に行なうことで、さらなるデトックス効果が期待できます。もちろん、忙しくて浴槽に浸かれない時にもできるので、ぜひ試してみてくださいね。
・半身浴をしよう
半身浴とは、胸下程度までお湯に浸かり入浴する方法です。
あまり熱すぎない、38〜40℃に設定したお湯に20〜30分間浸かることで血行が良くなり、じっくりと身体を温めることができます。気づいたらじんわりとした汗が出てきているでしょう。その汗とともに毒素が体外へ排出されていきます。半身浴をする際には、入浴剤もおすすめです。同時に香りも楽しむことができ、リラックス効果も得られます。
・水分補給も忘れないで
お風呂では予想以上に汗として水分が排出されています。お風呂から上がったら、水分補給を忘れずに行なってくださいね。
2-4.マッサージでさらなるデトックス効果を!
お風呂上がりや寝る前にマッサージはいかがですか?
特にお風呂上がりは、身体が温まり血行が促進されているので、身体がほぐれやすくなっています。その状態でマッサージを行なうことにより、リンパの流れがさらに良くなりデトックス効果が期待できます。ボディクリームやオイルを使えば保湿ケアもでき、一石二鳥ですね。
強く押し過ぎには注意してください。リンパ管は強く押しすぎるとダメージを与えてしまい、逆効果となってしまう可能性があります。
<身体の主要なリンパ節>
①耳下腺(じかせん)リンパ節
耳の下あたり〜首横の上部から体の下側に向かって、優しくさすりましょう。頭部の血行をよくします。頭痛や歯痛に効果があります。
②鎖骨リンパ節
鎖骨のくぼみを体の外側から中心に向けて、ゆっくり揉みましょう。全身のリンパが集まる場所なので老廃物も多く集まります。
③腋窩(えきか)リンパ節
脇の下にあります。鎖骨と腕からリンパが流れてくる場所です。手から脇の方に向かってさすりましょう。
④腹部リンパ節
お腹を優しくほぐしてあげることで、呼吸、自律神経が整い、内臓機能の働きをよくします。便秘や冷えを解消します。
⑤鼠径(そけい)リンパ節
脚の付け根の部分にあります。ここに老廃物が溜まると下半身全体がむくみやすくなります。 へその方向から脚の付け根に沿って、くぼみの中心部に向けてさすりましょう。
⑥膝窩(しっか)リンパ節
ひざ裏にあります。鼠径リンパと同様に脚のむくみに大きく関係します。脚の末端から足首に、ふくらはぎからもも裏へ向かって、優しく流すようにさすりましょう。冷え症の解消に効果があります。
3.デトックスの効果
ここまで色々なデトックス方法をご紹介しましたが、実際、どのような効果が得られるの?と疑問に思った方がいるでしょう。
具体的に身体に起こる嬉しいことを紹介していきます。
・肌が綺麗になる
肌のくすみや吹き出物がなくなり、肌トラブルが起きにくくなります。
・太りにくくなる
身体が本来の機能を取り戻すことで、太る原因となる老廃物が排出され、太りにくくなります。
・疲れにくくなる
毒素と一緒に溜まっていた疲れもデトックスできます。心も身体もすっきり。
・よく眠れるようになる
いらないものを排出して、質の高い深い眠りにつくことができます。
・冷え性、むくみ、肩こりが改善できる
デトックスによって血行がよくなり、新陳代謝も高くなります。身体が温まることで身体の不調がなくなります。
・イライラしなくなる
自律神経が整えられるので、気持ちが落ち着きやすく、リラックスできます。
4.デトックスを行なう上での注意点
何事もやりすぎは良くありません。今の生活から徐々に慣らしていき、ご自身の身体と心と相談しながら試してみてください。
あくまでも、デトックスは人間の本来の排出機能を取り戻すためのものです。過剰なデトックスは身体にとって大きな負担となり、かえって逆効果となってしまいます。くれぐれも、無理のない範囲で行なってくださいね。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。よく耳にする「デトックス」ですが、実は身体にとってこんなにも良い効果が得られるのです。日々生活する上での食事や水分補給、お風呂の入り方など、少し意識を変えてみるだけでも、あらゆる不調が改善されるはずです。
デトックス生活で身体の中から健康に、美しく、素敵な毎日を過ごしていきましょう。